……っぽい。
『分からないことがあったら、すぐに連絡してくださいね。もう少し課長と一緒に会社にいます』--数分後、大崎ちゃんから返信が入る。
その仲睦まじいメールに私は『ありがとう!』と短く返信を打ち、ちょうど通りを挟んで向かい側に見えてきた病院へ入るため、青信号が点滅している横断歩道を急いで渡った。
この全国行脚のキャンペーンは、各地にある営業所の多大な協力を得て行われているものだ。
笠松を含む数人の本社の社員が各地区を回り、例えば、関西地区は大阪や神戸営業所の社員と、東北地区は仙台営業所の社員とともにイベントを開き商品を知って頂く機会を作るというハードなキャンペーンとなっている。
笠松たち本社の人間は常に移動を繰り返しているので、落ち着いてゆっくり休む暇もなく、精神的にも肉体的にも、おそらく各地区の営業所社員さんたちより数段キツい、ここ1ヶ月半のキャンペーンだったのではないだろうか。
「大丈夫です」の一点張りでキャンペーンの概要を教えてくれなかった笠松に業を煮やした私は、直接、課長に聞いたのだ。
するとこのような説明が返ってきて、あまりの過酷さに、最初はこれが嫌で行きたくないと駄々っ子笠松だったのではないかと考えた。