……っぽい。
確かに、常に移動を共にする本社の社員の中で笠松は一番年下だと聞くし、周りの先輩社員たちへの気遣いも相当だろうと思う。
各地区の営業所社員の皆さんも、おそらく笠松より一回りくらい年上か、よくても同年代の社員がヘルプで付くかどうかという所らしい。
概要を聞いただけで精神的な疲弊感が尋常ではなかったし、ゲッソリする話だったけれど、でもこれは笠松が拒絶していることじゃないと直感的に感じて、すぐに考えが改まった。
もっともっと、ずっと深いところ。
社運がかかった新作ゆるかわキャラを世に生み出す仕事を成し遂げた笠松だからこそ、必然的に抱えてしまったものが必ずあるはずなのだ。
それが何なのかを早い段階で気づけていたのなら、笠松はこんなふうに倒れることもなかったかもしれないし、あの夜のように縋るまで追いつめられることもなかったかもしれない。
胸がジクジクとひどく痛む中、それに負けないよう、ふう……と一つ大きく息を吐き出すと、私は覚悟を決めて病院の自動ドアをくぐった。
この病院では、面会やお見舞いの場合、警備室で名簿に名前を記入し、ゲストカードを首から下げる決まりになっているらしい。
院内の案内に従い、そちらに向かっていると、すぐに警備室の明かりが目に入ってきた。