……っぽい。
言いかけて、慌てて口をつぐむ。
だったら最初から私をモデルにキャラクターなんて考えなきゃよかったじゃない--唇をきつく噛みしめ、必死に耐えていないと、汚い言葉が口から溢れてきそうで、とても怖い。
また一つ、スン、と小さく鼻をすする。
ナマケラゲは、昆野さんの言った通りじわじわ来る可愛らしさを持っていて、着ぐるみの中に笠松が入っていると思うと、どうしようもなく胸が締め付けられて愛しい気持ちが溢れてくる。
それはまさしく笠松の愛の結晶とも言えるもので、私も心からその愛を受け取りたいと思う。
でも、どうしても納得できないのは、なぜ笠松は私にそういう弱い自分や不安な気持ちを頑なに見せてくれなかったのか、という部分だ。
キャンペーンに出かける前も、会えない間の毎日のやり取りの中でも、いくらでも機会はあったのに、弱音を吐いてくれてよかったのに……。
寂しいを通り越して怒りさえ湧いてくる。
「やっぱり割り切れないんですよ。いくら仕事だと分かっていても、橘さん本人を否定されたわけではなくても、精神的に重いんです」
すると、私の気持ちを見越したかのように、昆野さんが噛みしめるように言った。