……っぽい。

　
「笠松君はずっと、自分が年下なのを気にしていたようです。弱音や泣き言を吐いたりしたら橘さんが離れていってしまうんじゃないかと思っていたんじゃないですかね。だから周りの意見を直接見聞きするこのキャンペーンに同行することを恐れていても、けしてそれを口にしなかった。いや、できなかったんでしょうね」

「そんなことで離れるなんて、私……！」


とっさに昆野さんに訴えてしまった。

そうしたところで意味なんてなく、笠松が納得してくれるまで“離れない”と伝え続けなければならないことは、よく分かっている。

けれど、声にしないと倒れそうだ。

それくらい、笠松の斜めすぎる思い込みと鈍感すぎた自分自身に頭がクラクラした。


笠松のほうも年齢差を気にしていて、不安な気持ちを言えずに溜め込み、とうとう倒れてしまうまでに参っていたなんて……。

私たち、本当にバカでアホで、似た者同士だ。


俯き、涙をこらえる。

目の前で泣かれても昆野さんが困るだけで、きっとツルリン頭皮を困惑気味にさすさすと撫でながら、参ったな……という顔をするだけだ。

すると、昆野さんが言う。


「では、笠松君に伝えてあげてください」