……っぽい。
どちらにせよ、先輩を傷つけてしまったことに変わりはないけれど、それでも俺には、体を重ね合うことに関しては先輩は絶対に拒まないという自負があったように思う。
先輩は俺の体が大好きだ。
……いや、そうじゃない。
あのとき実際、先輩は俺の心の奥にある怯えや恐怖を、そのときは理由が何なのかは分からなくとも感じ取っていたようで、乱暴に抱く俺を必死に受け止めてくれようとしていた。
でも、それはそれ、これはこれ。
どういう理由でキャンペーンに同行したくないかを知ったら、先輩が離れていってしまう可能性は、俺の中では往々にしてあり得た。
ナマケラゲを見たお客さまの反応を直接見るのが怖いなんていう、そんな子供みたいな理由で行きたくないと駄々をこねるなんて、社会人としても、男としてもできるもんか。
先輩の人生を丸ごと引き受けるつもりでいるのに、そんな奴が、たったそれだけのことで弱音を吐くなんて……あってはならない。
真山課長には常々、クリエイターとして成長できる大きなチャンスだからと薦められていたほかに、着ぐるみに入れるサイズの人間が俺しかいないとも言われてきた。
確かに俺は男にしては細身で、Mサイズ。
着ぐるみにぴったりだったんだろう。