……っぽい。
身構えていると、最後を質問系で締めくくった笠松は、ぐるりと一周、部屋を見回した。
なんなの? クイズ?
話がいまいちよく分からないけれど、私も笠松に倣って部屋の中を一通り見回してみる。
部屋の隅の観葉植物は、青々と茂っている。
インテリア系は主にグレーや黒、白で統一されているが、例えばソファーに置いてあるクッションは白地に真っ赤なイチゴが映えていたり、カーテンも暖色系のアプリコットオレンジだったり、フローリングの床に敷いてあるカーペットは女子が好きそうなモフモフだ。
それ以外の特徴といえば、やっぱり……。
「まあ、広いよね。無駄に」
「無駄って……!」
当然ながら、即、笠松のツッコミが入る。
でも、なんでこんなに広いの?
昨夜は部屋の広さに疑問を持てるような精神状態ではなかったから、特に何も感じなかったけれど、改めて見てみると、リビングもキッチンも、そういえばバスルームだって、一人暮らしにはやっぱり広いように思う。
ところどころに女子の痕跡が見え隠れしているっぽいところも、部屋の広さと相まって、不自然さを強調しているかのようだ。
まるで、誰かと一緒に住むための--例えば彼女と一緒に住むために選んだ部屋のような……。
見れば見るほど、そんな気がしてくる。