……っぽい。
カーテンを開けた窓から差し込む朝の光に照らされながら、ニパッと笑った先輩が言う。
そうか、だから“気負いすぎてて逆に気の毒”……。
もしかしたら俺、いつの間にか、千晶のときのように“守らなきゃ”って一種の使命感で先輩のことを見ていたのかもしれない。
「ふはっ……」
「笠松?」
ドアに向かいかけていた先輩が不思議そうな顔をしてベッドサイドまで戻り、肩をクククと震わせて笑っている俺の顔を覗き込んでくる。
ごめん先輩、でも俺、今、どうして先輩のことを好きになったのかが分かって嬉しいんだ。
「すみません、一人で笑っちゃって。先輩の支え合うってスタンス、めっちゃいいですね。だから『人』なんですもんね」
「?」
先輩は何を言っているのというキョトン顔で首を傾げ、俺はそんな先輩の肩に両腕を乗せ、同じ方向に首を傾げ、おでこに軽くキスをする。
倒れそうになったら寄りかかっていい、倒れてきたら支えになる--そういう関係を築ける人だなって自然に思えたから、俺は初めて自分から本気で誰かを手に入れたいと思ったし、人生を共に歩いていきたいと思った。
弱い部分も全部晒せた。
全部、先輩だから。
先輩だから、自然体でいられたんだ。