……っぽい。
いや、もうなんでもいい。
笠松がいてくれるなら、なんでも。
「可愛いウェディングドレス、雑誌で見つけてね。どうしても着たくて筋トレしてんの。くびれが前より出来たんだ、二の腕と太ももも引き締めてんの。綺麗な姿見せたいから」
「どうりで。可愛いわけだ」
「マジでか!」
「マジマジ、超可愛い。その気持ちが」
「……」
気持ちだけかよ、というツッコミは、とりあえず心でだけしておこうと思う。
バストアップはこれからだけれど、そんなのは笠松に揉まれりゃ嫌でも上がってくるだろうし、もういっそ、このまま食べられてしまいたい。
と。
「さっそくだけど、何も食べてないからご飯食べてもいい? お酌ばっかで腹ペコ。久しぶりに海月の手料理食べて元気つけたい」
体を離した笠松に正面から見つめて言われ、私だけ変な方向で“食べる”を捉えていたことに猛烈に恥ずかしくなってしまった。
そ、そうか、笠松は食物を欲しているのだな。
「いっぱい作ったから好きなだけ食べて。笠松の好きなものばっかり作ったんだ、私もお腹空いてきたから一緒に食べよ。すぐに準備する」
「じゃあ、俺は先に着替える」
我を取り戻した私は、バラの花束をそっと受け取ると、笠松に続いて部屋に入り、着替えている間にちゃっちゃと食べる用意をした。