……っぽい。
でも、考えれば考えるだけ“いつから”なんていう明確なラインやきっかけとなる出来事が思い浮かばなくて、あれマジでいつだ!? と本気で狼狽えてしまう私がここにいる。
笠松に拾ってもらったとき?
叱られたり、素敵な愛の言葉を貰ったとき?
パンツ事件での雰囲気丸無視の告白?
うーん……。
ここからはつき合い始めてからになるけど、千晶さんのことで知恵熱を出したときの『信じていいんですよ』? はたまた、これもまた千晶さん絡みの『無敵な彼女を持って幸せです』?
笠松が抱えていた恐怖や怯えに触れた夜?
仙台まで駆けつけたとき、私を見て安心した笠松の泣き顔に愛しいと感じたとき?
今日、面と向かって『いつ好きになったの?』なんて聞かれたから、毎日がお祭り騒ぎみたいだった半年分の思い出が一つ一つ蘇ってきて、ちっともえっちに集中できやしない。
「あれ、なんか今日は調子悪い?」
バラの花びらを肌に纏わりつかせ、湯船の中であんなことやそんなことをしていると、イマヒトツな私の反応に笠松が不審げに聞いてくる。
この際、いつから好きなのかはよく分からないけど、笠松のことはとにかく好きです、とはっきり言ったほうがいいのではないだろうか。
「海月……?」
「あ、あのね笠松」
「うん?」
「私、笠松のこと好きかよく分かんない」