……っぽい。
 
うぎゃっ!何を言うか私の口は!

たったの今まで私の体を触っていたはずの笠松の手がピクリとも動かないじゃないか、フリーズしているじゃないか!

やだ、なんで!? 私、日本語下手くそなの!?


「かかか笠松、ちが、違うの……」


訂正するため、慌てて笠松と向き合う。

動いた反動でお湯が揺れて、この緊迫した雰囲気の中には全くふさわしくない、ちゃぷんという呑気な音がバスルームに響いた。

笠松の顔は、信じられない!という驚愕の表情で固まっていて、バシャンと大きな音を立てて頭を抱えた私もまた、その格好で固まる。

やばいやばい、なんで!? なんで!?

パニック状態の頭の中は真っ白で、訂正も言い訳の言葉も何一つとして浮かんでこず、次第に自分のバカさ加減に涙まで出てくる始末。


「うぇぇん、ごめーん……!笠松のこと超好きだよ、指輪も嬉しかったし、久しぶりにえっちできて幸せだよぉ。いつから好きか分かんないけど、とにかく好きだって言いたかったの~!だからさっきの忘れてくださいぃぃ〜……」


ああ、こんなはずじゃなかったのに。

幸せなお風呂えっちをするはずだったのに。

どうしてこう、私ってクラゲ脳なんだろうか。
 
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