……っぽい。
けれど。
自分でもびっくりするくらい激しく泣きじゃくっていると、ぽん、と頭に手が乗せられた。
驚いて顔を上げると、涙でぼやけた先にいる笠松がクプププ!と今にも吹き出しそうな顔で肩を震わせていて、ちょっと面食らう。
「俺のことが好きか分かんないなら、俺にできることは一つしかないでしょ。何度でも何度でも好きだって伝えて、そのたびに恋に落とすまで。前より深く、もっと奥まで。結婚してもそれは変わらないから、もしかしたら逃げられなくなった海月のほうが大変かもしれないね」
私の左手を引き寄せ、指輪がはめられていた薬指の根元付近にちゅっと口づける。
「笠松……」
「だからもう、あれマジでいつからだ!? なんて考えてないで、しっかり俺を感じてよ。毎日毎日、俺がどれだけ恋しかったか、まだ全然伝えてないし、伝わってもいないでしょ?」
「うわっ、バレバレ」
「そりゃ、クラゲ脳ですから」
「……」
返す言葉もなく、私はへにゃりと笑う。
やっぱり笠松には適わない。
さすが私と結婚までしてくれる男である。
*
翌朝。
笠松より一足先に目が覚めた私は、久しぶりに見る穏やかな寝顔を朝のまどろみの中で幸せな気持ちで眺めていた。