……っぽい。
子犬のトイプーみたいにふわふわの髪の毛。
若さがなせる技なのか、女の私が嫉妬してしまうほどツルツルの肌に長いまつ毛。
しゅっと通った鼻筋に、その下の少し薄い唇。
ちょっとヒゲが伸びていたりして、そこだけ妙に男らしく、ツンと触るとチクッとして、思わず「ふはっ」と笑い声が漏れてしまった。
やっぱり、こういう無防備な姿を見るにつけ、笠松のことが好きだなぁとしみじみ思う。
いつからとか、どこからとか、具体的に好きになったエピソードは一晩経った今も思い浮かばないけれど、しいて挙げるなら、私もあの日、笠松に『助けて』と電話したときだろうか。
自分の部屋がホテル代わりに使われていたなんて夢にも思っていなくて、現場を目撃して何も考えられなくなってしまって。
でも、なぜか笠松なら助けてくれるという確信めいたものがあって、震える指で笠松の番号を押したことは、なんとなく覚えている。
私によく懐いてくれている後輩男子だと思っていたけれど、本当はずっと前から心のどこかで笠松を男として意識していたのかな。
笠松なら残念な私の恋愛に革新をもたらしてくれるんじゃないか、想われる幸せを感じさせてくれるんじゃないかって期待もしていたのかもしれないな、なんて寝顔を見ていると思う。