……っぽい。
自分の末路を想像して、思わず腕を抱いて身震いすると、私は改めて笠松の目を見た。
「その話、乗った」
「ほ、ほんとですか!?」
「ただし、ちょっとした条件があるんだけど」
「条件……ですか?」
キラキラと目を輝かせた笠松の表情が曇る。
しかしすぐにニヤリと意地悪く笑った笠松は、もうだいぶ冷めかけているだろうコーヒーを口に運びつつ私を一瞥すると。
「大丈夫です。俺、先輩には興味ないっす」
しれっとそう言いやがる。
「うっさい!違うわ、失礼なっ!! 部屋や家具の処分の仕方とか、笠松ならちょっとは詳しいだろうから、協力してもらいたいだけよ!」
「ああ、なーるほど。ていうか、先輩もさらっと地雷踏みますね。けっこう傷つきます」
「私のほうが傷ついとるわ!」
悔しいやら悲しいやらで、つい逆ギレしてしまったけれど、普通にひどいぞ笠松準之助……。
でも確かに、同居するにあたって一番のリスクは“お互いを異性として意識してしまうかもしれない”ということだろうと思う。
数多の小説に書かれているように、恋愛小説においての同居はイコール、実は無意識のうちに惹かれ合っていたり、ライバル的人物が現れることによってお互いに相手のことが好きだと気づかされ、最終的に恋人関係に発展する。