……っぽい。
 
まあ、それはさておき。


「ルールっていっても、家賃光熱費の折半とお互いに干渉し合わないことと、それ以外にどういうことがあるの? まさか家事当番を決めるとか? 私、笠松みたいにできないよ?」


料理も普通に美味しかったし、部屋もがらんとした印象はあるものの片づいているし、笠松はけっこう細かいタイプかもしれない。

細かいタイプの家事は、変なところに変なこだわりがあったりして面倒なので、初めに断っておかなければと思った私は、指紋ひとつ付いていない目の前の食器を眺めてから言った。


自分のやり方を強要されるのは嫌いだ。

いくら住まわせてもらう立場であっても、精一杯頑張った家事をまた最初から始められた上、チクチク小言なんか言われてみて。

そんなに私のやり方が気に入らないなら自分の思ったようにすればいいでしょ!! と思うし、自分のやり方より笠松のやり方のほうが遥かに理にかなっているとしても、それを素直に聞き入れることなんて絶対にできっこない。


以前そんな男とつき合ったことがある私は、その手のことに関して敏感なのである。

笠松がそんな男ではないことを祈るばかりだけれど、果たしてこやつはどういうタイプ?
 
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