……っぽい。
これが笠松の転がし方なのだと思うと、なんとなくスッキリしないけれど、本当に嫌なヤツじゃないから、特別悪い気もしない。
なんだかんだ欠陥はありそうだけど実は気が利くいいヤツだし、絶対服従なんて聞こえは悪いけどボロボロの私を拾ってくれたことに変わりはないし、たぶん笠松は、私が嫌がることや無理な命令はしてこない……と思う。
基本的にワルではないのだ、笠松は。
「よしよし、さっさとお皿のものを食べて、着替えて、先輩の荷物取りに行きますよ」
「分かってる」
「その後はパーッと気分転換なんですから、時間はいくらあっても足りないくらいです」
「うん」
頭をよしよしと撫でられながら言われると、やっぱり多少、珍獣として扱われているような気分になるけれど、思いのほか笠松の手つきが優しくて、なんだか調子を狂わされる。
……真人にはこういうのされたことなかったな。
ふと思い、頭を振る。
「あれ、先輩、犬?」
「違うわ!」
どうしても比べてしまうのは、今はまだ仕方のないことなのかもしれない。
でもいつか、ちゃんと真人を忘れて、笠松からも独り立ちができたら、今度こそいい恋ができるような、そんな気がする。
……しばらくは遠慮するけど。