……っぽい。
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浮気彼氏に会いに行きます
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週明け、月曜日。
怒濤の週末のせいで心身共に一つも休まらず、むしろ疲れきって出社した私は、出社早々、自分のデスクの真ん中に無造作に貼られたうさぎさんポストイットに驚愕した。
『パンツパンツパンツパンツパンツパンツ……』
シャープペンより少し短い長さの細長いうさぎさんには、所狭しと『パンツ』の文字が。
私より1本早い電車で出社していった笠松からの、やけに子供じみた嫌がらせだった。
「笠松さあ、こんな嫌がらせをする暇があったら、新作の一つでも考えなよ。あんた、私なんかよりずっと期待されてるんだから……」
うさぎさんポストイットをキョンシーみたいに笠松の額に張り付けてやりつつ、呆れ口調の中に多少のひがみも込めて、私は言う。
笠松や私が勤めている会社は『鶴亀堂』という古い文具メーカーで、新規開拓をしなくとも昔ながらの顧客から受注がある。
が、去年就任した若社長の意向により、若者向けの可愛い文具--ファンシーグッズを売り出すことになり、そうして急遽、新設された部署が、その名も『めんこい課』なのである。