……っぽい。
それはさておき。
「じゃあ、さっそく連絡してみる。気紛れなところがある人だから、今日のモノになるかは保証できないけど、急ぎだって言えば、なんとか都合つけてくれるかもしれない」
笠松に景気よく笑って言う。
もぬけの殻の部屋で待ち伏せするより、よっぽど成功率も現実味もあるだろう。
が。
「……」
「……笠松? どした?」
作戦の立案者である笠松は、なぜか難しい顔で私の顔をジッと見ているではないか。
あ、いつの間にか人間に戻ってる。
とは思うものの、言えない雰囲気だ。
「先輩って……いや、いいです」
「なによ、気になるじゃん。そういうふうに、途中でやめられるのが一番気持ち悪いよ」
「いや、ほんといいんです」
「……」
もー、なんなのさ、笠松準之助。
真人に連絡を取ると言ったくだりで様子がおかしくなったことは確かだけど、私には自分の言動に難しい顔をされる要素があるなんて思えないし、あったとしても分からない。
だから言ってほしいと頼んでいるのに、どうして笠松は言いかけてやめたんだろう。
モヤモヤしてすごく気持ち悪いじゃないか。
「おはようございまーす」
と、そこへ噂の大崎ちゃんがご出勤だ。