……っぽい。
 
笠松と私の姿に気づき、ラブコメ感たっぷりの笑顔で会釈をすると、少しも気づいていなかったのか、彼女のすぐ後ろから入ってきた真山課長にさっそく「はうっ!!」と言っている。
 
ああもう、めんこいなあ、大崎ちゃん……。

ああいうところに惹かれたんだろうな、課長。


「大崎ちゃん、課長、おはようございます」


話を宙ぶらりんにされて気持ち悪さは残ったものの、朝からほのぼのした気分にさせてくれたバカップルに私は笑って挨拶をする。

そうしていると、2人の後ろからも厳つい人、神経質な人、チャラい人、お局な人……個性豊かな課のメンバーたちが、ぞろぞろとドアをくぐってきては朝の挨拶をしつつタイムカードを押し、自分のデスクへ散っていく。

社員たちが続々と『めんこい課』に集まりはじめた今、笠松とこれ以上プライベートな話を続けるのは、さすがに無理というものである。


「とりあえず真人に連絡取るから。時間とか場所とか、会えるかとか、何か進展があったらラインで送るわ。スマホ気にしてて」

「はい」


笠松の返事を聞くと、私もすぐに自分のデスクに戻り、出社と同時に立ち上げたきりで、すっかりスリープモードになってしまっていたパソコンの画面を明るくさせた。
 
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