……っぽい。
それが仇になったのか……。
真人は営業担当なので、仕事上ファイナンシャルプランナー資格も必要になり取得したそうだけれど、営業だからこそ、仕事の合間を縫って違う意味の一仕事もできていた、というわけ。
もちろん、そんなサイテー男だということは最近まで知らなかった私は、銀行の営業マンというお堅い職業の真人に釣り合う女性になりたくて、実は私も大崎ちゃんと同じようなラブコメ体質なのをひた隠してつき合ってきた。
気まぐれな真人に何度約束をすっぽかされても怒らず許し、甲斐甲斐しく世話を焼き、求められれば体を捧げてきた、この3年。
……それが、真人に釣り合う大人の女だと、私にできるたった一つの愛し方だと思って。
でも、もう終わったのだ。
こんなにあっさり鍵が返ってくるなんて、飲み物1杯すら奢ってくれないなんて。
真人は私をどういう存在に思ってきたのだろう。
「先輩、なかなかの悪女っぷりでしたよ」
「でしょー? ありがとね、笠松。今度たっぷり焼き肉奢らせてもらうよー」
真人が座っていた席に移動してきた笠松に、私は、だらけた格好はそのままに、手をヒラヒラとさせて相づちを打った。