……っぽい。
「……それ、絶対服従?」
「当たり前じゃないですか」
「そっか。ありがと」
聞くと笠松からは当たり前だという返事が間髪入れずに返ってきて、またちょっと安心する。
あまり笠松のことを頼りすぎるのもいけないけれど、もしもまた誰かに恋をすることがあったとして、笠松のゴーサインをもらえてつき合っても結局上手くいかなかったとき。
今回のように泣きついてもいいと言ってくれているような、そういう安心感が、笠松の“当たり前じゃないですか”から感じられたのだ。
「ていうか、おしっこ出る」
「……は!? そういうの、なんでちょっといい雰囲気のときに言っちゃいますかね!? はー、もういいです。大なり小なりしてきてください」
「小のほうだけだわよ!」
失礼な!とふがふが鼻を鳴らすと、私の腕がやっと笠松の手から解放され、自由になった。
そうして笠松の手の熱さがやけにジンジンと残る腕をさすりながら、急げや急げとトイレのほうへと向かって数本進めば。
「あと、俺の前ではあの人の名前、もう言わないでくださいね。……これも絶対服従ですから」
すでに布団に潜ったらしい笠松からのくぐもった声に、何秒間か足止めを食らう。