……っぽい。
 
当の本人からは白目を剥いて驚愕され、素直に分からんと言えば、なぜか泣きそうになられ、一方的に私が悪い状況に……。

なぜ? え、分からん私がバカなの?

私でも分かるように矯正してくれない笠松には1ミリだって非がないっていうの?

と。


「……先輩もたいがいニブいですよね。もしかして、自分に好意が寄せられていても気づかないタイプですか? さっすがクラゲ脳」


ブラック笑顔を貼り付け、復活した笠松。


「クラゲに失礼ですぞ!」

「そこは自分に失礼でしょ!?」

「えー。笠松怖いよ……」


毅然とした態度でクラゲを庇えば、今度は鬼の形相ですかさず訂正を入れられ、百面相さながらの顔面に、笠松とはつき合いの長い私も、さすがに普通に引いてしまった。

それに、思えば最近の笠松はちょっと変だ。


2人でスーパーに行けば勝手に私のカゴを奪うし、お会計もなんだかんだで笠松持ち。

袋だって軽いものを入れた袋しか持たせてくれないし、私の好きなチュッポチャップスをよく買ってくれ、しかも「取りにくいでしょ」とフィルムまで剥がしてから渡してくれる。

可愛い部屋着を買ってきてくれたり、さり気なく仕事をフォローしてくれたり……。
 
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