……っぽい。
 
他にも変だなと思うところはいろいろあるけれど、基本的に常に情緒不安定なところが一番変だし気にかかる。

何か悩みがあるのだろうか。

私に打ち明けても無駄だと思っているかもしれないけれど、そんなもの、打ち明けてみなけりゃ分からないというのに……。


「ね、笠松。あんた、どっか悪いんじゃない? 週末でもやってる病院探してさ、今からちょっと診てもらいに行こうよ」


呪文のように「なんで、なんで……」と呟いている笠松の顔を覗き込み、真剣に提案してみる。

いつもの私が基本アホだから、冗談で言っていると思われないよう、眉を寄せ、表情を引き締め、自分にできる限りの心配顔を作って。

けれど、その瞬間--ドンっ。


「きゃ……っ」


床に押し倒され、小さく悲鳴が漏れた。

弾みでペットボトルが倒れ、まだ半分以上入っていたお茶が床にゴボゴボと流れ出ていく。

そういった音だけを耳に入れながら、意識と視線は笠松から外せずにいると、その笠松はひどく落胆したような顔で私を見下ろしていて、よく分からないけれど胸がズキンと痛む。

と。


「な、なによかさま--」

「女の子は溺愛されてなんぼでしょう!」
 
< 88 / 349 >

この作品をシェア

pagetop