……っぽい。
すると、少し復活したらしい笠松が、そんなことを呟きながらフラフラと立ち上がった。
私もようやっと押し倒されていた体を起こし、千鳥足であっちこっちフラフラ歩いている笠松の行方を心配しつつ、床を拭くためトイレットペーパーを取りにトイレへ向かう。
買い置きは十分な量があり、さっすが私!とホクホクした気分でワンロールを持って戻ると、笠松はベランダで一服しながら電話中の様子。
窓を閉めているから、私の耳まで声は聞こえないけれど、笠松の身振り手振りやリアクションの大きさからして、家具屋の友達っぽい。
まだ会ったことはないけれど、香久山さんという、家具屋さんに勤めるために産まれてきたような名字の彼は、大学の親友なんだそうな。
床を拭き終わった頃、どうやら通話を終えた笠松がタイミングよく戻ってくる。
よく分からないけれど、香久山さんと話して落ち着いたのか、笠松はいつも通りの笠松だ。
「今日は俺、飲みに行きます」
「うん」
「夜は絶対に外に出ないようにお願いします」
「うん」
「じゃあ、片付け再開しましょう。すみませんでした、1人で拭かせたりして」
「へーい」