夏恋

夏風

梅雨


「愛嬉(アキ)～ね～この人かっこ良くない？」
友達の夢華(ユメカ)が雑誌をあたしに見せながら満面の笑みであたしに問いかける。
「うん。かっこいいかもね」
あたしはそんなに興味がないから微笑で夢華に意見をする。
「はぁ～愛嬉は興味ないか・・・」
夢華はガッカリという言葉がピッタリな後姿をあたしにみせる。
「うん。ごめんね？そんなに落ち込まないでよ。」
あたしは夢華に偽笑いを顔につくる。

あたしは心から笑うのが苦手だ。嘘の笑顔なら自信がある。
だれにも見破られないって。

友達の夢華にもそんな笑顔をみせるあたしはどうにかしている。
でも夢華は単純だから気付かないあたしにとっては好都合ってところかな。

「愛嬉？どうしたのぼけぇ～っとして。」
「あ。ぁあ夏バテ？かな？」
あたしはとっさの下手な嘘をつく。
「もぉ～愛嬉はもうバテちゃったの？いっつもぼけぇ～ってしてるからじゃない？」
夢華は冗談と呆れが混ざった顔をして笑ってた。
そんな夢華がうらやましいとあたしは感じた。

そう、このジメジメした梅雨のせいだ。あたしが機嫌悪いのは。
そんな変な言い訳をつけて自分からにげた。
たぶん冬になったら≪寒いから機嫌が悪いの≫
ってあたしは言い訳をつける。
自分にまで嘘つくあたし。