先輩でも妬くんです。
『キーンコーンカーンコーン…』
「「…あっ。」」
本鈴だ。やばい、遅刻させてしまった…。
春日はするりと俺の手の中から離れていった。
「では、また明日!」と笑顔で去っていく春日。
…当たり前だと思う。
俺は今日も春日と一緒に帰れない。
でも、『一緒に帰れますか』の一言がなくなっただけで少し悲しくなった。
「…俺って自分勝手で、わがままなやつだったんだなぁ…。」
1人の教室に虚しく響いたその声は、誰にも気づかれることなく消えた。