先輩でも妬くんです。


「あーーーっ!もういい!!

ぜーーーったい優勝してやる!」


吹っ切れたように声を上げる松山くん。
…嬉しくは思わないだろうが、松山くんは女装がすごく似合っていた。

元が整っているから、あの格好をしても別に不自然ではなかったのだ。


そんな松山くんに「はいはい」となだめるように声をかける春日。


…てか春日イケメン。男装似合いすぎだろ。

黒髪に学ランのその姿は、たぶん女の子たちを虜にできるだろう。


そんな2人が並んでる。仲が良いカップルに見えた。




………春日の彼氏は俺だっての。



自分で「カップルみたい」と思っておきながら勝手な思考だと思う。


たぶん、俺は紛れも無い馬鹿だろう。




「八代くん、ひももらってきたよ!」


相手の女の子、城田(しろた)さんに持ってきてもらったひもで足を結ぶ。


そしてスタート位置に移動した。

彼女の腰に手を回す。……競技とはわかっていても。なんか複雑な気持ち。


あ、俺二人三脚の練習なんてしてなかったけど…大丈夫かな?


それでも容赦なくスタートはやってくる。



「位置ついて…よーい、」『パンッ』


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