わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「じゃ、下降りるか」
広樹のその言葉で、3人の足は階段に向く。
向く、けど………
「……………ねぇ、皆今足動かしてないよねぇ?」
先頭のここあが私たちを振り向いて言う。
確かに、私たちは誰一人地面から足を離していない。
でもなんだろう、この音。
コツコツって…足音みたい。
誰か他にもいるのだろうか?
「…………もしかして、幽霊か?
いや、幽霊って足ねーよな」
「広樹…どんな典型的な幽霊よ…」
「待って、近付いてくるっ」
恐らく革靴かと思われる足音は、どんどん近付いてくる。
何故か危機感が膨れ上がった私たちは、近くの教室に急いで駆け込んだ。
そっと聞き耳を立てると、階段を上りきったあたり…さっき私たちがいた場所らへんから声が聞こえた。
「……誰かいたと思ったけど…気のせいか」
「智哉っ!?」
「え?」
思わず声をあげた広樹に、智哉の視線が絡み付く。
………なんで智哉が?
「広樹?明美に、ここあまで…
何故こんなとこにいるんだ?」
「それはこっちの台詞よ…」
脅かすなよなー!と広樹が智哉に絡む。
智哉が鬱陶しそうにその手を押しやると、広樹は大人しく手を引いた。
「俺は少し忘れ物をしたから取りに来た」
「忘れ物…ってまさか、そのシャーペンじゃないよね?」
「?そうだけど、それが何か?」
いやいや、普通シャーペン忘れたくらいで夜の学校に来ないでしょ。
しかも一人で。