わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「明美」
「え…………………?」
やけにはっきり聞こえた声。
ずっと聞きたかった広樹の声。
後ろから聞こえた声に、私は振り返った。
「広樹っ!!」
「よぉ、明美」
いつもみたいに軽く笑う広樹に、涙が浮かぶ。
でも、広樹の姿を見逃すまいと慌てて袖で拭った。
「何泣いてんだよ。
俺は笑ってる明美の方が好きだぜ?」
「広樹ぃ…………!」
「だから泣くなって」
ぽんぽん、と頭を撫でてくれる広樹。
それが嬉しくて、また涙が出てきてしまった。
黒い空間に浮かぶ、広樹と私。
異様な状態なのに、それについては何も感じなかった。