わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
オワリノトキ
ゆっくりと目を開ける。
暗い。
手足の感覚が戻ってくる。
でも、右手の感覚は戻ってこない。
痛みは―――ない。
使える右目だけで周りを見渡すと、先程と変わらない光景がうつった。
血塗れで倒れる広樹と、その側にいる私、そしてそれを見下ろす佐久間。
先程と違うのは、私がやけに落ち着いていること。
あと、佐久間が笑っていないこと。
「…………………広樹」
私が広樹に手を伸ばすと、広樹の身体は透けて…すっと消えてしまった。
………触れなかった。
きっと、ここあや真理もこうして消えていったんだろう。
智哉も恐らくもういない。
不思議と、涙は出なかった。