わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「ねぇ明美。
今、どんな気持ち??
苦しい?辛い?もうやめてほしい??」
ぐっと私の顔を覗きこんだ佐久間は、次の瞬間くるりと後ろを向いた。
「なーんてね。
やめてあげるわけないから、言わなくてもいいよ」
その背中から、笑っているのがわかる。
―――今だ。
背中を向けてる今しかない。
とっくに走り出す準備なんか整っていた私は、全速力で駆け出した。
後ろから何かが聞こえようと、保健室から幽霊が出てこようと、そんなのは関係ない。
だたひたすらに走った。
職員室も生徒玄関も同じ階にあってそんなに距離はないのに、走っても走っても前に進めないような感覚に陥った。
でもそんなのは幻覚で、走っている時間が一生のように感じるのも全てまやかしで……。
「明美ちゃん」
「ここあ!?」
後ろから聞こえた声に振り向くと、ここあが立っている。
すごく、寂しそうな顔だった。
いや………違う。
多分これは佐久間。
さっきだって前だって、佐久間はここあに化けてたんだから…もう騙されない!!
「明美ちゃんはここあを置いていくんだね」
「うるさい!!」
「明美、私を置いていくんだ…」
「うるさいうるさい!!」
曲がり角から現れた真理まで、同じことを言う。
視界にはここあと真理。
なんで?
佐久間は一人でしょ?
本物…?違うよねっ!?
だって皆、私を助けたいんだって…だから力をくれたんでしょう!?