わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜



その安心からか、私は周りの音を聞かないようにすることを忘れていた。


扉に手をかけた瞬間…。


「明美………俺…間違ってた」


しっかりと、広樹の声を聞いてしまった。


間違ってた……?


他の3人とは違う、その言葉。


置いていくなとか…お前なんか嫌いだとか。


そういうことを言われるんだとばかり思って聞かないようにしてきたけど……。


そして、私は振り返ってしまった。


扉を開く前に…………。


「どういうこと………?
間違ってたってなに…………?」

「明美……………ごめんな………」

「何がよ………言ってくれないとわかんない……!」


私の言葉には何も言わず、ただ『ごめん』と繰り返す広樹。


その横から、佐久間が姿を現した。


「っ!!」

「明美、追い付いたよ。
生徒玄関の扉…開けたんだね」

「そ…そうよっ!
残念だったわね…私はもうここから出られる!」

「…………………」


自然と笑みが溢れる私を、佐久間も広樹もただ無言で見つめている。


どうして?


佐久間はどうして焦らないの?


広樹は…どうしてそんなに悲しそうな、申し訳なさそうな顔をするのよ…?




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