わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜



そして、ぽつりと広樹が呟いた。


「………………。
そこからは…………出られない」

「……………は?」


俯いてしまった広樹。


どういうことよ?


出られないって………。


「私が説明してあげる」


にこっと微笑んだ佐久間に、また恐怖を覚えた。


ぐっと指に力をいれる。


そして、扉を引いた。


もうここから出てしまおう。


出てしまえばこっちのものだ。


そう思って……………。


「…………………何よ…これ………」


私は、絶句した。


扉は開いた。


だけど……扉のそとは、いつもの道じゃなかった。


何もない空間にポツンと校舎だけが浮いている。


そんな表現しか出来ないような……。


そうだ。


恐怖で外を気にしている暇なんてなかったから…外を見てなかった。


雲ひとつなくて、木も、建物も、何も見えない。


ただひたすらに黒いだけ……。


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