わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜


「無理だよ。明美はここから出られない。

他の皆も…もちろん広樹もね」

「どういうこと…?」

「あぁ、でも厳密には違うかな。
ここで死んだら、体だけは現実にあるよ。
死んだ状態のまま、遺体で発見されて終わりだけどね」

「………………………」

「で、魂だけはここでさ迷い続けるの。
見たでしょ、たくさんの幽霊。
あれぜーんぶ私が集めてきたんだ!

こうやって自分が閉じ込めて殺すのは明美たちで初めてだけど…幽霊なんてそこらじゅうにいっぱいいるからね。
かき集めてきたの」


私たちを…私を、絶望のどん底に落とすために?


何よそれ。


結局、足掻くだけ無駄だったってこと?


じゃあ広樹たちは…何のために私に力をくれたの…?


「これで皆幽霊の仲間入り!
おめでとう…!

広樹、もうどっか行ってていいよ。
あとは私が明美を殺すから!」

「…………………はい」

「っ!?広樹!?」


佐久間の言うことを素直に聞いた広樹は、スーっと消えていってしまった。


なんで…?


なんで佐久間の言うことなんか……!


「驚いた?
ここにいる幽霊は私の言葉には逆らえないの。
私が操ってるんだからね……。

さっきは広樹がどうしてもって言うから最後に謝らせてあげたんだよ?
明美に謝りたいってうるさかったんだから~」


明美が生徒玄関に向かって走り出した後にね、と佐久間が言う。


やだよ……。


これで皆の「置いていくの?」という言葉が嘘だったのはわかったけど。


こんなのあんまりだよ………。



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