わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜


そういって、ぎゅ、と私に包丁を握らせた。


完全に力をなくした私は、されるがままになる。


「よーし、じゃあ行くよ!」


包丁を握った私の手に佐久間の手が重なり、包丁が私に向けられる。


包丁って、先っぽ丸いんだなぁ…。


これじゃあすぐには死ねそうにない。


「せーのっ!」


佐久間が、渾身の力で包丁を押し込む。


グサッと確かに私の首に刺さった包丁が、ぐりぐりと深くまで入ってきた。


それでも、私は死なない。


意識がちゃんとある。


ズキズキと首が痛むけど…叫ぶくらいの痛みでもない。


あれ?首が切られてるんだったら叫べもしないか。


じゃあいいや、これで。


服が、じわじわと赤く染まる。


痛みをあまり感じないのも、意識が遠くならないのも、多分皆に貰った力のせい。


…………余計なもの貰っちゃったかな。


これじゃあ死ねないじゃん。


力が私の命を繋ぎ止める方に集中しているのか、痛みが徐々にはっきりとしてくる。


やめてよ………………。


どうせなら、痛みを感じないままに死なせてよ。


皆の願いは私に生きててもらうことだから…私は死ねないの?


「あ゛………あぁ゛………
い゛……だい…………」


声を出すことも叶わない。


痛みは増してくる。


なのに、一向に気は遠くならなくて…逆に狂ってしまいそうだ。




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