わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜




「…………あ、そういえば広樹とはぐれちゃったんだっけ?」


体の震えをどうにか堪えて、立ち上がる。


広樹のとこに行く前には、この震えをなんとかしなきゃ。


あの教室を思い出すと正直ゾッとするけど、きっとあの死体はもうない。


………いや、元からなかったんだ。


私が…あるって思い込んで見てただけ。


仕方がない。どうにかして戻ろう。


側にあった図書室を目印にここが2階だと判断した私は少し休憩した後、広樹と合流するべく4階を目指した。








どうにか震えを止めて教室に戻ると、中からは話し声が聞こえた。


「広樹…………」

「お?あぁ、明美!
ったく、なんだったんだよ、さっきの!
結構ビビったんだぜ?
死にたくないとかなんとかってよ…いきなり吐き出すし…」

「ごめん……私も色々びっくりして、気が動転してたみたい……
もう大丈夫だから」


広樹の出迎えを受けて、先程の教室に入ると、やはりそこに死体はなかった。


かわりに、広樹の他に智哉とここあが増えている。


「あれ、二人とも合流出来たんだ!」

「まぁ…明美の悲鳴聞いて、どうしたことかと駆け付けてみれば途方に暮れた広樹がいるんだから、色々びっくりしたよ」

「うんうん、心配したんだよっ?
明美ちゃんが無事で良かったぁ!」


どうやら、智哉とここあは一緒にいたようだ。


………ということは、4階で見た教室を指差した女の子は…佐久間や死体と同じ、幻覚だったのか。


………厳密に言うと、あれも佐久間の幻覚だったんだと思うけど。


「さて…あとは真理か」

「あ、そういえばだけど、ここあ、七不思議教えてよ」

「えぇ?いきなりどうしたの?」

「いーからいーから!」

「うん…?
音楽室の肖像画が動くとか、理科室の人体模型に追いかけられるとか。
後、誰もいないのに鳴り響くピアノの音とか?」

「なんか、ありきたりね…」

「具体的なのは、さっきの保健室のやつしかないよ~?」


まさか、あれは偶然だった………とか?


なんかそんな気がしてきた。



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