わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
―――ガタンッ
「ひっ」
少しの物音でも驚いてしまう。
広樹が机にぶつかった音だと知ると、バクバクとうるさい心臓が少しおさまった。
広樹が意外と怖がりだった、と少々バカにしていた私はもういなくて、自分でも嫌になるくらい周りに敏感な私がいる。
教室に入る度に思い出される幻覚。
もしかしたらここでも死体が見えるんじゃないか―――なんて考えてしまう。
完全にトラウマだ。
逆に、広樹はなんだかあまり怖くなさそうに感じる。
余裕があるとは言えないが、先程より顔色もいい。
順応、と言うのだろうか?
私も出来れば早く順応してほしいものだが…それは願って出来ることでもない。
怖いものは怖い、トラウマなものはトラウマなのだ。
せめて、会話があれば…
そう思って、思いきって口を開く。
「広樹は…怖くないの?」
「は?
………それ、前俺がお前に聞かなかったか?」
「………そうだっけ」
あ、そういえば聞かれた気がする。
私は「幽霊なんて信じてない」って答えたんだよね。
そうだった…しかも、時間的にはついさっきのことなはず。
……色々ありすぎて、時間感覚が狂ってる。