わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜



深く息を吸って、吐いて…と心を落ち着かせてから、音楽室の扉に手をかける。


指に力を込めると扉はすんなり開いて、私を迎え入れた。


もう片方の出口の前に、死体があるはず。


暗くてよく見えないのは不便だけど、かといってここで懐中電灯をつけて死体を見やすくするなんてことはしたくない。


いつ幽霊が出てくるかとひやひやしながら暗闇の中を進んでいくと、視界の端になにか液体がうつった。


………ダメ。そっちを見たら…死体がある。


そう頭ではわかっているけど、やっぱり気になってしまう。


もし動き出したら…なんて、頭の中を嫌な想像が駆け抜けていく。


その度、死体の存在が気になって仕方がなくなる。


「……一瞬なら…」


ここあの死体ならさっきまじまじ見てたじゃない。


大丈夫…きっと大丈夫…


「………よし」


もう気になって進めないくらいなら見てしまおう。


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