わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「あ…あ゛?」
「………え?」
カラン、という音と共に、手から滑り落ちた包丁は地面と衝突した。
智哉から、たくさんの血が流れ落ちた。
最初は、ボタボタっと。
そしたら智哉が口から、さらに血を吐いた。
智哉の左胸から、なにかが出てる。
白い…腕?
何を掴んでいるの?
赤に染まって、ドクドクと動いているもの。
それはなに?
それを掴んだ白い腕は、やがて引き抜かれた。
ブチブチッ、と嫌な音がした。
智哉は、悲鳴をあげることもなく…その場に、倒れ込んだだけだった。
「…………明美」
「ぁ…あぁ………」
「明美…」
「……さ……くま……?」
「そう」
「………………」
……智哉の心臓を掴んでいる白い腕の持ち主が、事も無げに私を呼んだ。
また、助けてくれた。
佐久間だ。