わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「あっ、あった!!!」
『生徒玄関』と確かに書かれたプレートをぶら下げている鍵を手にとって、広樹を振り向く。
「広樹!あった、あったよ!
やっと出れる………広樹?」
自分で歩いて来たんだろう。
さっきより広樹は私に近づいて来ていた。
だからよくわかる。
広樹が口をぱくぱくさせて、顔を白くしているのが。
見開かれた目からは涙が出ている。
声にならなくて、口だけが動いている状態だったけど…なんとなく、広樹が何を言っているのかがわかった。
「に………げ………ろ………?」
口の動きがそう言っている。
それでつい、無意識に今まで気にしないようにしてきた…広樹の身体に、目が行ってしまった。
左胸から突き出た赤い物体。
ボタボタと何かを垂らし続けているそれを掴んでいる白い腕。
なにか、見たことがある風景だ。
前は広樹じゃなくて、智哉だったけど。
………智哉は、このあとどうなったんだっけ………?
確か……確か………