わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
私が思い出そうと動かない頭を必死に回転させていると、ピクリと白い腕が動いた。
………だめ……動いちゃだめ………
広樹が…………………………っ!
「いやあああぁぁぁぁあああっっ!!」
ブチッという音を聞いた瞬間、私は喉が裂けるんじゃないかと思うくらいに叫んでいた。
腰が抜けたけど、広樹に向かって歩こうとする。
「広樹!広樹ぃ!!
どうしてっ!?
なんで広樹が死ぬのぉっ!?」
なんとか腕の力で広樹のもとまで這っていった私は、側に立つ人物を見上げた。
「あははっ、そんなに泣き叫んで這いつくばって…無様だね、明美!」
「佐久間ぁ!!!」
はっと私をバカにするように笑った佐久間が、手の中の物を握りつぶした。
赤い液体が、私にも降りかかる。
「どうしてよっ!!
佐久間は…私を助けてくれてたじゃない!!」
「バカだなぁ。
今、私がなんでこいつを殺したのかもわかってないんだ?」
「やめて!!」
ぐりぐりと裸足で広樹の頭を踏む佐久間を押し退けて、広樹を抱く。
まだあたたかいけど、でも、人間にしては冷たくて。
服がどんどん赤黒くなっていく。
どうして?
やっと出られると思ったのに。
わかんないよ。