わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜

ハジマルキョウフ




なんの問題もなく入ってこれた校舎の中は、昼間よりひんやりした空気に包まれているように感じる。


真っ暗な闇のなか、私たちの持つ懐中電灯だけが光を発する。


「うおー、想像以上にこえぇわ。
ったく、佐久間のやつが死んでなけりゃもっと楽しかったんだろうなぁ」


悔しそうに言う広樹がなんだか面白くて、くすりと笑う。


どうせ、途中で置き去りにするんでしょ。


それとも、ロープかなんかで縛り付けて一晩暗闇の中で放置する?


「そうだ!今度芽衣ちゃんでやろうよっ!
ここあ、あの委員長きらぁーい」


佐久間ちゃんは自殺したのに明美ちゃんたちを疑うなんてあり得ない、とお怒りの様子。


やっぱり、今度は芽衣とか言う委員長が標的になるみたいね。


「それはいいけど、これからどうするのよ?
入ってくるだけ来て、なにもしないの?」

「んー…とりあえず校内一周しようぜ。
幽霊がいたら出てくるっしょ」

「えぇ~ここあこわーいっ」

「私もこわーい」

「二人揃って潔い棒読みで…」


そんな冗談を言い合いながら階段をのぼって一番上の階…つまり、四階に行く。


一年の教室があるところだ。


「ここから南館行く?」

「おー、そうだな」


四階を突っ切ると、南館に続く渡り廊下が姿を現した。


「ここあいっちばーん!
…………あれ?」


ここあが渡り廊下のドアに手をかけるが、ドアノブが回る気配はない。


「鍵掛かってるよ~!
南館行けないみたいっ」


この学校は本館と南館しかないから、南館にいけないとなると肝試しはすぐ終わりそうだ。


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