彼女。 (短)
『私ね、小学校の時いじめられてたの。
すごく仲のいい子がいたんだけど、
私とその子の趣味は全然違った。
あの子は部屋の中で遊ぶのが好きだったんだけど、
私は外で遊ぶのが好きだった。
あの子は音楽が好きだったけど、
私は体育が好きだった。
私は気にしてなかったけど、
遊んだりするとき
いちいち反発しあう私たちの
関係にあの子はうんざりしてたみたいで…
ある日突然私を無視しだしたの。
他の子まで私を無視して、私は本当に一人になった…
辛かった。卒業が待ち遠しかった。
だから中学にあがってからは、
誰からも嫌われたくなくて、
誰にでも合わせるようにしてた…

高校にあがってもその癖は治らなかった。
だから実に迷惑かけちゃったね…ごめんなさい…』

『だけど私付き合う前から、実の事好きだったの。
ほんとだよ?
たくやくんと声をかけてきてくれたあの日、初めて実の事知ったの。
いつも声をかけても
ほとんど何もしゃべってくれなくて…
だけどそんな実を、いつの間にか目で追ってた。
もっとあの人を知りたい、近くにいたい。
そう思うようになったの。
だから付き合おうって言われて本当に嬉しかった。
実と映画に行ったり、御飯食べに行ったり…
実と私の趣味は全然違ったけど
実の好きな事を知っていくのが
本当に嬉しくて楽しかった。』


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