ウィルス
「あは、あはは、あはははははは!」







舞は突然笑いだし、フラフラと歩み出した。






舞の変貌に我を失っていた由紀達だが、すぐに状況がマズイことに気が付いた。








舞は炎へと向かっていた。









「舞!待って、舞!」






由紀は走って舞を捕まえようとしたが、舞自身も走り出し、なかなか追い付けない。









香苗は立ち上がるのがやっとといった様子だ。







「舞!舞!」




「あはははははは…あはははははは…あはははははは!」








野次馬の間を風のように走り抜けていく舞に対して、由紀は野次馬に当たってなかなか進めなかった。








由紀の叫びも周囲の騒音でかき消されてしまう。








「舞ーー!」














舞は由紀の抑止むなしく、炎の中へと溶け込んでいった。
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