ウィルス
「ダメだ!繋がんない!香苗!」






由紀は駅のホームで何度も電話をかけたが、繋がらなかった。









香苗!お願い!無事でいて!









電車の窓を通り抜けていく景色を瞳にだけ映して、由紀は香苗の無事を祈り続けた。









電車が駅に着くと、由紀は再び走り出した。途中何人かにぶつかったが、軽く謝ってすぐに走り出した。









香苗!お願い!









香苗の家が見えてくるにつれ、由紀の不安は募っていく。









香苗の家に着くと、由紀は不安な気持ちを指にのせインターホンを連打した。









「ハイ?どちら様?」







女性の苛ついた声が聞こえた瞬間、由紀は早口で捲し立てた。









「夜分にすみません!あの香苗さんは!香苗さんは!いらっしゃいますか!」







「どちら様っ?」






「あぁ…すいません!香苗さんの友達の由紀と言います!」
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