ウィルス
その日は2人共なかなか寝付けなかった。








否応にも舞の事を考え、そして香苗に届いたメールについて考えてしまう。








あのメールに映された文の内容は確かに舞の死に方と同じだ。









「ねぇ…由紀…」





「ん?」








ベッドの上で丸まって座っている香苗が、向かいの椅子に座る由紀に向かって口を開いた。





その声は暗い。









「私がもし舞みたいになったら…」





「香苗。大丈夫だって…」




「うん、だから、もしもだよ…そうなったら、私からのメールは開いちゃダメだよ?」





「香苗…」









自分が窮地にいるのに、友人である自分のことを気遣う香苗に何にも代えがたい友情を由紀は感じた。









大丈夫、舞の時みたいにはいかない…絶対に香苗は死なせない!








「香苗…もう寝なよ。私はここにいるからさ…」







「うん…ありがとう…ゴメンね。」
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