ウィルス
それから2時間ほど経って、ようやく香苗は眠りについた。









規則的な寝息をたてて、穏やかに眠る香苗とそれを見張る由紀。









2人の呼吸の音と時計の秒針の音が部屋を満たしている。
















その夜は何も起こらなかった。








部屋に朝日が流れ込み、窓の外から雀の鳴き声が聞こえてくると、由紀は妙に安心した。









「…良かった…何も起きなかった…」









由紀は大きく息を吐き、伸びをした。









「ゴメンね…由紀…」








香苗がベッドから謝った。








「起きてたの?今日は学校休もう?私も休むからさ…」







「うん…」








香苗も大分落ち着いたみたいだった。













その朝、由紀の母親に不審がられないように2人は学校へ行くフリをして外に出かけた。
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