ウィルス
荒々しく後ろ手でドアを閉めると、由紀はドアにもたれ、どこか安堵している自分に気がついた。








「………はぁ…」








しかし、その安堵を打ち壊す音が部屋に鳴り響く。










机の引き出しから携帯の着信音が鈍く聞こえてきた。








由紀は身を震わせ、ドアに寄りかかり、着信音が鳴り止むまで待った。









そして、部屋に静寂が戻った時、由紀はそろそろと机に向かった。







由紀は震える手で引き出しを開け、その手で中から携帯を取り出した。









そして、爆発しそうな心臓を何とか荒い息で抑え、彼女は携帯を開いた。そこには……













[着信メール 99件]








由紀の背中に恐怖で吹き出た汗がにじみ、彼女は声にならない叫びをあげた。
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