ウィルス
その夜は由紀にとって地獄だった。







およそ、10分置きにあのメールを知らせる着信音が響く。







彼女はその音が鳴る度に大きく身体を震わせ、歯をカチカチと鳴らした。








「いや…もういや…もういやぁぁぁっ!」








枕を抱え込み、ベッドの上で丸くなって泣きじゃくる由紀。








しかし、次の瞬間、彼女は意外な音を聞いた。








「あれ…?この音…?」







あのメールとは違う着信音が携帯から漏れてくる。









彼女はすっかり忘れていたのだ。









彼女は特に仲の良い友人である舞と香苗だけには、個別の着信音をあてていたのだ。









今鳴っているのはそれとは違う音。








つまり、あの恐怖のメールとは違う。










由紀はそれに気付くと、慌てて机へと向かった。
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