ウィルス
「はっ!」





由紀は驚きの余りに、身体を強張らせた。









しかし、それがラッキーだった。












彼女の指は、キーを押す直前で止まったのだ。









「はぁはぁはぁ…危なかった…」









由紀は緊張から解け、胸の中に溜まった不安を押し流すように肩で息をした。









「今度は慎重に…」











由紀は躊躇わずにキーを強く押して、タケからのメールを開いた。










『よぉ!久しぶり!あのさ、今度の日曜にさ映画いかない?頼む!オレの好きなシリーズなんだけど、相手がいなくってさ…』









「はぁ?何であたしがあんたに付き合わなきゃなんないのよ。」









由紀が断りのメールを返そうとした時、彼女は異変に気付いた。










「え…うそ……何で?」


















画面に赤い染みが現れた。
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