ウィルス

「何で？何で！あたしあのメール開いてない！なのに何でよ！」








事態を呑み込めない由紀は電源を切ろうとしたが、携帯は操作できなかった。









その間にも、携帯の画面は真っ赤に塗られていく。








その光景に冷や汗をかきながら由紀は携帯のボタンを滅茶苦茶に押した。









彼女の抵抗も空しく、携帯の画面は真っ赤になり、そして上の方から白い画面が徐々に現れ始めた。













『アタシはウィルス。アナタのケータイはアタシのモノ』








そして、由紀が見たくなかったあのドクロが赤い文字の上に現れる。









ドクロが出た瞬間、由紀の携帯に蓄積されていた香苗からのメールが次々に開かれていく。









「いや、何よ、何なのよぉぉ！」









彼女の叫びを余所に、メールが画面に次々に表示されていく。